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20-19
俺の挑発に乗るかどうか、正直
確信がない。
でも。でもな。
身内だぞ?
緋葉さんは、“血筋を残す為に生んだ”と
言っていた。
それなら。
この状況、現れて当然だろ。
「こんな形での再会になるとは、な。」
決まりきったセリフが、
渋めのイケボで落とされた。
同時に、強めの風が起こって
さらに、ラスボス感を生む。
貴也が良い感じに歳取って、
イケオジになったような男が現れた。
確認せずとも、誰なのかが分かる。
「貴方が出る必要はっ······!」
「もう、いい。限界だろう。」
貴也の親父が出現して、
緋葉さんの表情が劇的に変わっている。
深く、慕っているのが分かる。
なんで、だ。
慕う者の、血を引いた子どもなのに。
こうも、態度が違う?
憤りながら見据えていると、貴也の親父は
俺に目を向けて笑った。
なるほど。これは。やべぇ。品格が。
王様レベルだ。




