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······貴也っ。お前はっ。
「お願いだよ、母さん。
最初の最後でいいから、聞いてほしい。」
「離せっ!!」
「僕のこと、少しでも
息子だと認識しているのなら。」
「生むつもりはなかったわよ!
あの人が、血筋を残す為にって言うから
仕方なく生んで育てたのよ!」
「十分だよ。それだけで。」
悲しすぎる。
このやり取り、見ていられねぇっ。
「貴也の親父っっっ!!!
隠れてないで、出てこいやっ!!」
思わず、俺は叫ぶ。
「見てんだろ?!!」
「朔耶っ······」
既に杏奈は、涙ぐんでいる。
そんな顔、もう、させたくねーんだよ。
終わらせたい。
「出てきて、きちんと話しつけろやっ!!」




