602/650
20-11
ヤバいっ!!
俺と貴也は、飛びかかろうとした。
しかし。
乾さんは、俺たちを制すように
右掌を向ける。
それによって、ぐっと足を踏ん張らせて
その場に止まった。
制したのは、操られたから······なのか?
「抗うなんて、致しません。」
凛と放った声は、美しく強く響き渡った。
「従うのは、あなたの方ですから。」
乾さんの腰元に置かれたチャラメンの手が、
だらりと落ちる。
地面に膝を付き、彼女を見上げる
チャラメンの表情は。
さっきまで見せていた威圧は、
欠片も見受けられなかった。
ギラついていた目も、ぽわんとしている。
「······どうですか?
自らの力で、服従する気分は?」
 




