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頼もしい発言だが、不安になる。
チャラメンが赤い目を使ったら。
事態は、最悪な方向へ行くのでは。
貴也も、それを心配しているのか
歩いていく彼女の背中から、目を離さない。
いつでも動けるように。
その姿勢が窺える。
俺も、同じだ。
杏奈を庇いつつ、注目する。
「見れば見るほど、いい女だな。
そんな地味な服じゃなくて、もっと
派手なやつが似合うぜ。」
「それは、お褒めの言葉と受け取ります。」
ぐいっと、乾さんの腰元を引き寄せてっ······
うわっ。その顔の距離はっ。
ジャパニーズ規格外だぞっ。
あぁっ。我慢しろ貴也っ。
今にも飛びかかりそうだっ。
「使えないとでも思ったのか?
オレは今、食事を済ませたばかりだぜ?
いつもより、多めにな。」
乾さんの繊細な顎を捉えて、チャラメンは
いやらしく笑う。
や、やっぱり!
赤い目、使えるんじゃねーかっ!!
「抗えるものなら、抗ってみろ。」




