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俺は新事実に、驚きと不安を隠せなかった。
吸血鬼って・・・・・・
やっぱり、化け物にすぎないのか。
“人と変わらない”なんて思っていたのが、
大馬鹿だった。
“どう足掻いても、人にはなれない”。
そう言われた気がする。
「お前は流石というか、“血を吸う”工程が
取り返しのつかない事態に陥ることを、
本能で分かっていたのだな。
・・・・・・途中で止めることが出来たのは、
半分引き継いでいる、奏子さんの血の
お陰だろう。」
それは、確かだと思う。
俺は、『吸血鬼』と『人』の間に生まれた。
『人』の血が、歯止めを利かせてくれた。
「そして、朔耶。お前が飲んだ量なら、
夜目が効くとか、
跳躍が屋根に届く程度だろう。」
・・・・・・へ?




