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ぐぐぐっと、チャラメンを抑え込んでいた力が
フッと軽くなる。
「?!」
気づいた時には、俺の身体は
宙を舞っていた。
「朔耶っ!!」
ビターン!!と、地面に叩きつけられる。
「合気道って知ってるか?
こういう時、便利なんだぜ。」
く、くっそぉっ!!!
いってーな、おいっ!!
······って、痛がってる場合じゃないっ!!
そいつはニヤつきながら、また
杏奈に手を伸ばそうとっ······!!
「オレの女になりな。日下部 杏奈。」
「させないよ。」
うぉぉっすまんっ!貴也っ!!
掴む直前に、貴也が杏奈の前に
立ちはだかって振り払った。
「もう一匹いたか。兎川の犬が。」
「安易に乗り込んだのは、作戦か?」
「作戦?······ぶはっ!
だったら、どーすんだ?」




