592/646
20-1
乾さんは、というと。
見事に魅惑のナイスバディが、隠れていた。
街中に溶け込む、オフィスレディコーデ。
これはこれでアリなんだろうな、貴也。
しっかり、目の奥まで刻んでおけよ。
俺たちが杏奈を見守る中、彼女は
一定の場所に留まって
スマホで、どこかと連絡している。
周囲と、連携を取り合っているのだろう。
《朔耶くん》
イヤホンから、貴也の声が掛かる。
《君から2時の方向に、僅かだけど
動きが気になる男がいる。》
2時の方向······
黒いキャップ帽を被った奴か。
俺からの方向だと後ろ姿で、
背中しか見えない。
《誰かと連絡しているみたいだけど、
ずっと日下部さんから目を離さないんだ。
······後をつけているようにも思える。》
流石、貴也。細かいところまで見てるな。




