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「・・・・・・話す時がきたようだな。」
そのセリフ、伝説っすね。
「前にも言った通り、『吸血鬼』は
血を飲まないと生きていけない。
そして、逆も同じ。
飲み過ぎたら、正気ではいられない。
見境なく血を求め、彷徨い、鬼と化す。」
ふざけてる場合じゃない。
俺は、青ざめた。
親父は続ける。
「実のところ、『吸血鬼』の実態が、それだ。
人間と共存したい、共存させたい、
それを強く願って結成されたのが、
『吸血鬼協会』。
・・・奏子は、その一員であり
僕の唯一の理解者。最愛の女性だ。
朔耶も、そんな女性と出会ったんだな。」
そう語って見せた親父の微笑みは、
陰があるものの
とても柔らかくて、優しかった。
隣で黙って聞いていた奏子は、嬉しかったのか
とろけた笑顔を浮かべている。




