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「二人とも落ち着いて。」
するりと貴也の声が、
言い合いになりそうな俺たちの間に
割って入った。
「乾さんの意見を聞こう。それから、
僕の考えも続けて話すよ。」
振られた乾さんに、俺たちは注目する。
この中で一番冷静に、物事を見渡せて
最善の判断を下せる人だ。
彼女の考えは······
「レングラント嬢の意見に、賛成です。
極上の獲物を目の前にして、
全く動かない選択肢はないでしょうね。
例え、罠だとしても。
彼らは今、血の供給を安全にできず
焦っていますから。
血狂いのボーダーラインを
把握しているとしても、今の状態は
危険な架け橋です。釣れると思います。」
それを聞いた、杏奈の顔は。
力強くて可憐で。とても綺麗だった。




