574/646
19−13
部屋の中は、だだっ広い会議室みたいな。
近代的な内装で、ちょっと拍子抜けした。
ど真ん中には、会議に使うような
大きなテーブルと椅子。
壁際になぜか、すげー長いハンガーラックに
ズラッと掛けられた服が。
「やぁ、こんばんは。」
奥から、貴也が歩いてきた。
集いの時と同じで、黒いスーツ姿。
ガチで貴族に見える。
どことなく、気品があるんたよな。
「あの時は、本当に申し訳なかった。
謝っても謝りきれないよ。
僕とは、顔を合わせたくないだろうけど······
どうか、共に行動する事を許してほしい。」
真っ直ぐ杏奈に向かって、深々と頭を下げた。
······貴也。
「······顔を上げて。河野。」
杏奈の表情は、すごく穏やかで。
本当に、女神みたいな
優しい微笑みが浮かんでいた。
「もういいよ。改めてよろしくね。」




