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こんこんこん。
「失礼します。朔耶様と杏奈さまを
お連れいたしました。」
『······どうぞ。』
応えてくれた声は、乾さんだ。
貴也も一緒にいるのかな。
「それでは。私は、これで。」
「案内ありがとうございました。」
紋白さん、ありがとう。
秘めた恋を、温かく見守ってくれて。
蘇芳の間、か。
両開きのドアって······
「お城みたいなドアだよね。」
そう。それそれ。
「押せば、開くのかな······」
悩んでいると、思ったよりも軽い感じで
ドアが内側から開いた。
「お待ちしておりました。朔耶様。
レングラント嬢。」
笑顔の乾さんが、出迎えてくれた。
タイトスーツ姿だ。紋白さんと
ほぼ変わらない、魅惑のナイスバディ。
······
さっきみたいな失態は、もう繰り返さないぜ?




