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時が止まるとは、この事か。
紋白さんの突き刺さるような視線が、
瞬きできないほどフリーズする杏奈に
注がれる光景。
俺は、この刹那を目に焼き付け、刻んだ。
「せっかくの美貌をお持ちなのに······
もう少し、自覚なさいませ。杏奈さま。」
ふっ、と頬が緩んで、
優しく杏奈の頭を上から下へ撫でる
紋白さんの細い指は、マジでエロすぎた。
現に施しを受ける当人は、されるがまま
とろけていく。
「身も心も。今以上に磨くのです。
さすれば朔耶様は、余所見する暇も
なくなるでしょう。」
微笑みまで、なぜか小悪魔のように映った。
「宜しいですか?杏奈さま。」
「······はい、紋白さん······
ありがとうございます······」
「ふふっ。可愛いですわね。」
紋白さん、エグい。
流石、乾さんの妹君。




