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ダメに決まってんだろ。
そう口から出る前に、親父が言葉にした。
「相手は、血狂いを起こしているが
フルパワーの吸血鬼だ。
しかも、単体とは限らない。
朔耶たちが、君を守りきれるとは
言い切れないよ。」
「無謀だとは分かっています。でも、
囮になる事は、できます。
捜査網を敷くだけでは、彼らを
掴めないと思います。
自分の命は、自分で守りますから。」
「強気だね。危険すぎるよ。
君の、勇敢さは。」
すっ、と向けた昌耶の眼差しは、
凍りつくように冷たかった。
今までに、見たことがない。
俺も、杏奈も、その視線を
外すことができずに固まった。
「僕たち吸血鬼を、侮ってはいけない。
力だけではなく、狡猾さも備わっている。
······その絶望を前にして、君は動けるか?」




