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「······ベッドに、座る?」
「······あ、あぁ。うん。」
「······ツジーさんは······」
「私は、立ったままでいいよ。
お気遣いありがとう。」
「······」
「······」
存在感、ありすぎる。
視線も、ねちっこいし。
ないものとか、ムリじゃね?
杏奈は、恥ずかしげに
俺を見つめている。
かわいっ。うん。そうか。
杏奈だけを見つめていれば、何とか。
うるうるな瞳。
その海に、溺れてしまおう。
じっと見つめていると、白い頬に
赤みが増していく。
片頬に、そっと触れてみた。
少し、ぴくん、と反応したけど、
拒む様子はない。
じんわりと、温かさが伝わってくる。
滑るように親指で撫でると、
瞳の潤いが揺らいで、桜色の唇が少し開いた。
息が少し、漏れたような。
いつもは、さぁどうぞ的に
彼女が髪をかき上げて、首を差し出す。
それは、勇ましいと思えた。
彼女の勝ち気なところが、好きだったりする。
でも今夜は、俺が。




