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思わず、貴也の方を見た。
予想に反して、表情には何も浮かんでいない。
いや、恐らく。
心はもう、決まっているということか。
「貴殿を加えたのは、血縁という情に
流されるか否かの判断も確かめる為だ。
意見を述べよ。」
真っ直ぐに会長を見据えるこいつは、きっと。
「両親から孤高であれという教えを受け、
それを信じて疑わなかった僕には、
血縁の情に流される感情すらありません。
······
更生プログラムのお陰で、
愛を知ることができました。
僕の行く果ては、その大切な人が身を置く
協会の為だけに捧げます。
兎川会長。血縁の汚点を、是非とも
僕に拭わせてください。」
······
なんてカッコいいんだお前はぁぁぁっ!!




