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「クイーン・兎川。我々の救世主が
困っているではありませんか。
人間の時代背景には、則るべきですよ。」
心地よく響く、低い声。
その方向に注目するが、
俺たちがいる所の角度からでは、
姿が見えない。
投げ入れられたその言葉に、会長は
鋭い視線を向けている。
「綾辻君。それは、
私に意見するという意味か?」
その冷たい視線は、杏奈を咎める時に
見たことがある。
エグいくらい、怖い。
「滅相もない。まだ、
長生きしたいですからねぇ······
ただ、今の若者に
まぐわいをオススメするのは、どうかと。
目と目を通わせ、手を握り合い、
愛の言葉を交わす······うう〜ん♡♡♡
それだけでも素晴らしいではありませんか!
青春が、未来を明るくするのです!
十分、それは契りといえます!」




