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会社の駐車場に着き、親父と俺は
車から降り立つ。
見事なまでに、快晴。
吸血鬼は、この日光に溶けてしまうと
思われている。
残念ながら、何ともない。
逆に、清々しいとさえ思える。
会社は、日曜日定休だ。
だから停まっている車は、俺たちの車と
見覚えのある黒の高級車のみ。
「会長はもう、いらしているようだ。」
「親父の親友って人は······
今日どうやって来るんだ?」
「急遽シンガポールへ出張して、
数日前に帰国したそうだが·····
恐らく、新幹線と電車を使って
来ると思うよ。彼は、陸路の旅が
大好きでね。」
奏子は、“面白い人”だと言っていたな。
吸血鬼特有のイケメンでもあると。
俺の想像だが、親父がもっと明るく
はしゃいだ感じ······かな?
吸血鬼に関する事に対して、
研究熱心だと聞いている。
俺がまとめた吸血鬼の調べ、
何か参考になればいいけど。




