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視線が合うと、何だか照れてしまう。
毎回即座に、逸らしてしまうんだけど。
情事が終わった後、みたいな。
いや、ごめんなさい。経験ないから
妄想でしかないけど、俺的には
そんな風にしか思えなくて。
「はぁ······すき。」
ぎゅっと、甘いため息と、好意の言葉。
胸元で響いて、俺の鼓動が大きく波打つ。
「······俺も、だよ。」
大好き。杏奈。
これが、なかなか素直に口から出ない。
でも。いつか。きっと。
普通に出る時が来ると思う。
「奏子さんと、夜ご飯作って待ってるね。」
トロンとした目で見上げて、
彼女は微笑みを浮かべる。
あぁ。この距離感。幸せすぎないか。
「······ありがとう。杏奈。」
自然と笑顔になれる、この瞬間が。
いつまでも、続きますように。




