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すると、奏子は目を丸くさせた後
顔を輝かせていく。
「朔耶······まぁまぁ、どうしたのぉ?
母さん嬉しいわぁ。うふふふっ!
温かいココア用意するわね。
朝ごはんできるまで、飲んでおきなさい♪」
鼻歌交じりで、羽が生えたように
コンロへ消えていく。
······あれ?確かに、俺らしくないぞ。
奏子を喜ばせてしまった。
······まぁ、良きとしよう。
ゆっくりソファーに座って、
朝メシができるのを待つとか。
たまには、こういうのもいいかな。
時計を見上げると、まだ
6時になったばかり。
吸血鬼の集いの開始時刻は、10時だ。
貴也の参加許可が下りたのかどうか、
知らされてはいない。
親父に聞いても、その有無は
分からないという。
とりあえず、行くしかない。




