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「······だと、いいけどな······」
「まぁでも、急ぐことはないかもね。
それだけ大事にしている証拠だから。
ただ、無理に抑えるのも違うと思って。
早いも遅いもなくて、二人が
いいと思う時に······かな。」
「······だな。」
少し、肩の力が抜けたような。
もっと気楽にって事か。
「吸血鬼の調べも、二人の愛で
育まれていくんだね······
見るのも完成も楽しみだなぁ。」
愛が育む。なんて、素敵な言葉なんだ。
「貴也は、詩人だな。」
「詩人?···へへっ、そう?
乾さんが、いろんな書籍を
提供してくれているお陰かなぁ。
今、本を読む時間が至福なんだ。」
乾さんの名前を紡ぐ時、貴也は
キラキラと輝いている。
恋って、ホントに素晴らしい。




