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「これって、吸血鬼本来の力ってことか?」
「そうだ。ただし、その力が発動するのは
血を吸った人間に限る。
蓄積された量にもよるが、
思入れが強い者ほど容易くなる。」
なるほど。
残像が見えたのは、
正統な発動条件を満たしたからなのか。
「この事は、吸血鬼の集いで
是非取り上げよう。会長もあいつも
喜ばれること間違いない。」
生き生きとして笑う親父は、
慕う女性目線からすると鼻血もんだろう。
「それと、もう一つあるんだけど······」
「おお、何だ?」
そんな、嬉しそうに。
奏子だったら、ぶっ倒れるレベルの笑顔だ。
「ちょっと、言いづらいんだけど······」
「何でも話してくれ。僕はとても嬉しいよ。
お前の成長ぶりを、こうして聞けるのは。」




