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互いに勉強する時間は、17時まで
真面目に続いた。
俺は大半、“吸血鬼の調べ”に没頭したんだが。
こんなガチで物事に集中したのは、
初めてかもしれない。
ここまで真面目に取り組むと、
妙な爽快感がある。
貴重な勉強会は、奏子が帰宅したと同時に
終わりを迎えた。
「アンナちゃん!いらっしゃい!」
「奏子さん!お邪魔してます!」
深々と頭を下げる杏奈に、奏子は
微笑みながら寄り添って
彼女の背中に手を置く。
「我が家だと思っていいのよ。うふふっ」
頭を上げた彼女の表情は、
泣きそうなくらいに緩んでいた。
「本当に、勝手な事ばかりして
すみません······」
「何言ってるの。あなたは本当に健気ね〜!
カレーは食べた?」
「いただきました!
とっっっても美味しかったです!」
「あらっ。うふふっ!嬉しいわぁ!」




