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午後からの勉強タイムが始まり、
杏奈は黙々と参考書に向き合っている。
美しい。うむ。
向き合うこの景色、至福だ。
俺は、というと。
不意打ちミッションの結果を
ノートに記して、補足を足していった。
もう一度実行する必要がありそうだ。
検証という形になるだろう。
でも今日はもう、しない方向で。
杏奈の負担もあるし、
俺のキャパ超えも、ある。
杏奈が何気に口にした、“吸血鬼の調べ”。
完成させよう。
意外と、やる気が出ている。
存続の為もだが、人との共存が目的だ。
その行く末を、会長は見据えている。
吸血鬼協会の心得。
人外である以上、衝突も生まれる。
それを、極力避けたいもんな。
吸血鬼が絶滅危惧種なのは、
言わずとも分かる。
絶やさない為にも、理解が必要だ。
半人の俺は、不可能も可能にする。
そう、信じている。
生きた標本に、なってやろうじゃねーか。




