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「ねぇ、朔耶。もう流石に
血が飲みたいんじゃない?いいよ?」
ドキッ。
しまった。さっきの不意打ちで
堪能しすぎた。正直今、満足している。
不意打ちミッションを遂行するには、
一回の量を少しにしなければ。
俺はともかく、杏奈の身が持たない。
「んー······母さんのカレーが美味すぎたのか、
不思議と大丈夫なんだよな。」
「そうなんだ······味覚が満たされたら、
満足するもんなの?」
「断言できないが、そうなのかも。」
すまん。これはちょっと、誤魔化している。
同じ空腹感ではない。
飢えの種類が、違うというか。
血の乾きは、狂っちまうくらい我慢できない。
本能から湧き上がる、飢えだ。




