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杏奈が、ソファーから
立ち上がろうとした、その時。
すかさず俺は、バックハグする形で
彼女を包む。
驚いたんだろう。
びくっと身体を震わせた。
こちらを振り向く事を許さず、俺は
杏奈の白い首筋目掛けて
口を開き、噛み付く。
「······!!」
流れ込む、極上の蜜。
それは、俺の乾いた喉に
ねっとりと潤いを与えていく。
······詩人みたいな表現になっちまったけど、
本当に、これは、正気を失うくらい
危険すぎる美味さだ。
ヤバい。
毎回思うけど、味が
微妙に変わっていくんだ。
しかも、その時、その時、
しっかりと極上で。
狂いそうになる。
「······くぅ······」
寂しがる子犬のように、杏奈は鳴いた。




