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「······ありがと。」
はにかみながらも、素直に手渡してくれた。
「片付け終わったら、朔耶も
ソファーに来てね。」
「あぁ。」
「一緒に、寛ごうね。」
返事の代わりに、笑顔で返す。
食器をシンクへ持っていき、
杏奈から姿が見えなくなった所で
思いっきりニヤつい······いや、
頭を抱えた。
どうする。
ほぼ、イチャこらフラグ確定だ。
このままだと確実に、血を吸ってしまう。
いや、いいんだけどさ、不意打ちへの挑戦を
持ち越すのは······
二人きりでいられる、この時間が
完遂できるチャンスだと思う。
ううむしかし。不意打ち、ムズい。
さっきのお知らせメロディーで、
くじかれてしまった。
女子が好きそうな行動を自然にできる、
モテ男子に聞きたい。
柏原とか、きっと
そういうの上手いんだろうな。
俺の、今までの短い人生経験と勇気を
隅々までかき集めたところで。
急に、そんな事できないぃぃ。




