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ソファーから立ち上がり、そっと忍び寄る。
出来る限りの足音を消し、
呼吸する風で気づかれないように、
息を止めて。
勉強に集中しているからか、
彼女は気づく様子がない。
これなら、いける。
束ねきれない短い髪が、
うなじから零れている。
背後から見る白い首筋は、
俺の最後の砦といえる躊躇を解き放つ。
エロい気持ちというより。
噛み付かなければ失礼だと、
湧き上がる本能。
あぁ、俺って。
マジで、吸血鬼なんだなって。
この時ばかりは、半人であることを
忘れてしまう程に。
欲しい。
お前の、極上の血が。
全ての渇きと、煩悩を満たす、恍惚が。
吸い込まれるように
彼女の白い首筋目掛けて、口を開ける。




