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シャープペンの音だけが聞こえる。
それに、目を向けた。
ここからだと、後ろ姿しか見えない。
だが、それでもかわいいと思える俺は
かなり重症だと自覚している。
意気込みの表れである、一つにまとめた髪。
その為に窺える、白い首筋。
勉強に集中する彼女は、俺からすると
無防備に見えて仕方がない。
噛み付きたい衝動が、湧き上がる。
ダメだ。
落ち着いてたのに。
抑え込もうと、杏奈から目を離して
ぎゅっと瞼を閉じる。
血をいただくのは、今じゃないぞ。
彼女と向かい合って、見つめ合って、
さぁどうぞって言われた時だ。
······
······
いや。待て。
不意打ちって、どうなるんだろう。




