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血の味は、好き度合いで決まるらしい。
生まれてからずっと、
奏子の血をもらっていたわけだが
それなりに美味しかった。
母親だから対象として見ていないし、
安定した味だったから
普通にデザートとして飲んでいた。
ホント日課的な。
今思えば、母乳みたいな感覚だ。
奏子の血も、杏奈程ではないが
『聖職者』の血。その血を、
血狂いを起こさない最低限の量で
摂取していたから、
ここまで無事に育っているのであって。
感謝してもし切れない。
親父も、母さんの血を飲んでいるから
正気でいられるんだ。ダンディで紳士に。
俺たち家族も、
奇跡の上で成り立っているんだな。
河野のように、紛れない吸血鬼たちは
家族の愛を知らずに育っていく。
孤高であることが、当たり前のように。




