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何とか無事(?)に、家へ辿り着いた。
杏奈は、ずっと俺の腕に
くっついたまま······
嬉しいのを通り越してしまわないように、
奏子のキンキン声を頭の中でずっと
響かせていた。効果バツグンだ。
ふらつく足で、地面に降り立つ。
「朔耶?大丈夫?」
心配そうに聞いてくる彼女は、さらに
俺の腕に密着する。
うん。やわらかい。女子って、やわらけぇ。
何もかも、やわらけぇ。いい匂い。
「······あぁ。少し、貧血気味かも。」
「すぐに飲んだ方がいいよ?」
嬉しい申し出、だが、
また眠ってしまったら、何か、もったいない。
ここは、ちょいと我慢しよう。
「大丈夫だ。ちょっと、セレブに浸りすぎて
調子悪くなっただけだろう。」
「あはっ。なにそれおもしろっ。」
意外と、ウケた。




