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ナイト・オブ・ルビー。
非現実的な時間を、ありがとう。
どこまでも、すげぇ。
ハイヤーと呼ばれる車は、
言われなくても高級車だと分かる。
会長たちが乗っていた車より、
遥かに縦長くて黒光りしている。
親父の乗用車が、可愛く思えるなぁ。
多分、まぁまぁいいヤツなのに。
足を伸ばせるくらいに広い後部座席に、
俺たちは恐縮しながら乗り込んだ。
「どちらまで、いらっしゃいますか?」
運転席と隔たるように、
カーテンが仕切られている。
完全に、俺たちの空間だ。
運転手さんの物腰は、ちょー柔らかい。
タクシーの運ちゃん、という体では
決して、ない。
杏奈姫は悩んでいる様子だったので、
俺が指定する。
「彼女の家まで、よろしくお願いします。」
「かしこまりました。
ご自宅の場所は、事前に確認済みです。
ご安心してお寛ぎください。」
カーナビいらず。恐れ入りました。




