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「はぅっ」
小さく漏れた彼女の声と同時に
流れ込む、温かい血潮。
悪いけどコース料理よりも、超絶美味い。
ただ、何ていうか。
いつもより、甘さが増してる。
「んんっ······」
彼女の息遣いも、何となく。
いつもより······
「はぁっ、はぁっ、さく、やっ······」
すき。
耳元で、喘ぐ。
離れないと。
甘すぎて、くらくらする。
「······離れちゃ、いや······」
ダメだ。
これ以上飲んだら。
強制的に、噛み付きを放す。
杏奈は、俺の首にしがみついた。
「いやっ、傍にいてっ、おねがいっ······」
ふわりと香る、甘い匂い。
頬をくすぐる、彼女の柔らかい髪。
甘い。全部が、甘すぎる。




