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「ごめんなさい······やっぱり、心のどこかで
楽しめない自分がいて······」
良かった。
正直に、話してくれて。
「謝まらなくていいって。」
泣きじゃくる杏奈を引き寄せて、抱き締める。
彼女に刻まれた心の傷は、深い。
これからも、誕生日を
100パー楽しめないのは続いていく。
だから俺は。
「無理に、笑わなくていい······」
ずっと、寄り添っていくよ。お前に。
「頭の中で繰り返しても、それに
足を止めなくていいんだ。少しずつ、
時間が癒してくれる。
······俺、自分が吸血鬼だって事に
ずっと劣等感を持って過ごしてたんだ。
イジめられて、
受け入れてもらえなかったのが
原因なんだけど······
正直生きてんのが嫌になって。
自分を否定して、人生諦めてた。
でも······何とか日常過ごしてたら、
どーでもよくなってさ。
悩むのもバカらしくなって。
どうせ生きるなら、楽しいこと考えて
過ごしてーなって。
いつからから、そうなってたんだ。」




