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食事が終わって部屋に戻ってからすぐに
俺たちは、ソファーに座って
美味しすぎたコース料理の話で盛り上がった。
会長に感謝だ、ホント。
あの一面ガラス張りから見る景色も。
ヤバかった。ちょうど夕日が見れた。
夜景も堪能して。
何も話さなくて心地好かった時間なんて、
初めてだった。
これって、すげーことだよな。
同じ時間を、同じ気持ちで過ごす。
一体感まで、味わえた。
「······幸せすぎて怖いっていう気持ち、
何となく分かっちゃったなぁ······」
夜景に目を向けたまま
ぽつりと、彼女が呟いた。
いや俺も。同じ事を思ってた。
「こんな幸せな誕生日、
過ごせると思ってなかった······」
目を向けると、彼女は
微笑みながら、涙を流していた。




