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流石というか。
もうね。ほっぺた落ちるって、この事なのね。
美味い。うんまい。
濃い味で誤魔化してるものが一つもない。
何ていうか、素材を引き出してるっていうか。
とにかく、美味すぎる。
ぐはは。食リポのセンス、ゼロだな。俺。
杏奈も同じだったみたいで、
遠くを見つめるように
うっとりして、極上の料理を堪能していた。
幸せそうな顔を見るだけで、
心まで満たされる。
会長。ありがとう。
杏奈に寄り添える時間をくれて。
料理だけではなく、部屋まで。
たくさん笑顔になってもらって、そして
彼女が本音をぶつけてくれたら。
俺は言う事ない。これから先、
どんな困難でも乗り越えられる。
······ははっ。俺、重症だな。
こんなに自分が、誰かを強く想えるなんて
思わなかった。




