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受話器を置いて、数分経たずに
部屋のチャイムが鳴る。
ドアを開けると、美しい角度でお辞儀をする
さっきのベルマンが現れた。
「ご案内致します。」
連れていかれた場所は、
イタリアンの店のようだ。
店内の雰囲気は、もう。セレブ一色。
こんな上品な所で食事なんて、
緊張してしまう。
杏奈も落ち着かない様子だったが、
この空間に目を輝かせている。
喜んでもらえているようだ。
しかも、俺たちは
さらに奥の個室へ案内された。
真っ白いテーブルクロスが敷かれた円卓には、
抑えめの照明に合わせた
キャンドルの灯り。
俺たちだけのテーブルしかない。
でもって、一面ガラス張りの景色。
これは。贅沢すぎる。ヤバい。




