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今のワタクシたちに、畳は不似合いですわね。
彼女よりも早く立ち上がって、
手を差し伸べる。
「行きましょうか。お嬢さま。」
花のように笑って、俺の手を取ってくれた。
あうぅぅ抱きしめたいぃぃ。
······やだ。いけませんわ。
ワタクシとしたことが。
取り乱してしまいました。
「フロントに連絡しないと、だな。」
ひとまず、キリッと。
内線は、ベッドの近くにあるようだ。
受話器を取ると、コール音が鳴る。
すぐに応答があった。
《はい。フロントでございます。》
「あの······今から
ディナーに行きたいんですけど······」
《かしこまりました。ベルマンが参ります。
ご案内しますので、
部屋でお待ちください。》




