32/647
1-22
「へぇ・・・・・・そうなんだ。」
俺の話を、杏奈は口を挟まずに聞いてくれた。
まともに聞いてくれるヤツなんて・・・・・・
今までに、いなかった。
「・・・・・・ありがとな。話を聞いてくれて。」
素直に、言葉が出た。
自然に、笑えた。
それが杏奈は嬉しかったのか、
めっちゃ良い笑顔で返してくれた。
「どういたしまして!
ねぇ。吸血鬼のこと、もっと知りたいな。
お話聞かせて!」
「実は・・・・・・血を飲む事だけしか知らなくて。」
今まで、知りたいと思わなかったから。
「えー?じゃあさ、聞いてもいい?
1日一回少しだけって、どのくらい?」
「・・・蒟蒻ゼリーが入った、
個包装みたいなやつくらい。」
「それ、思ったんだけど・・・・・・
わざわざそれで飲むのって、おかしくない?」
「・・・・・・え?」
「直接嚙んで、飲まないの?」
その質問は、当然のように思える。




