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落ち着け。これは、死のフラグだ。
テンションMAXアゲアゲ♪⤴の
理性ぶっ飛んではいアウト〜!······のコースだ。
勿論俺は聖人でもなければ、
清い男女交際を掲げる絵に描いたような
優等生でもない。
しかし。しかし、だ。
心の奥底の、骨の髄まで隅々に渡って
杏奈ファーストでいる事に、
得も言われぬ歓びを感じている。
会長に言われた言葉。
全身全霊で彼女をエスコートしろ、と。
彼女が望まない事は却下だ。
そして、両親の命日を
一瞬だけでも忘れられるような、夜を。
彼女が笑顔でいられる時間を。俺は。
「朔耶······?どうしたの?」
うん。落ち着くわけねーよな。
「な、何でもない。えっと······
ディナーの時間、どうする?」
今、17時を過ぎたところか。
「着替える時間を考えて······
18時、にする?」




