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ガチでトラウマだったし、これから一生
隠し続けて過ごすと思っていたから、
尚更今の状況が信じられない。
まったく、本当に、何なんだよ。
「・・・・・・大丈夫?」
笑い続ける自分が心配になったのか、
杏奈は真面目に聞いてきた。
俺は深呼吸して、笑いを止める。
「日下部。俺たちは、
人から血を吸うことはない。きちんと、
それを調達してくれる協会があって、
1日一回だけ、少し飲む程度でいいんだ。」
「え?そうなの?吸わないの?」
「そんなエロい飲み方はしない。」
「え、エロい?でも、普通・・・じゃないの?」
「血を飲む工程は関係ない。それに、
俺たちは普通に食事もする。
人間と変わらない。ただ、血を飲む事。
飲まないと、生きられない事。
それだけが、違うところだ。」




