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Lesson11 全身全霊で彼女を受け止めよ
俺の理性が飛ばない内に、幸いにも
会長たちは車内に戻ってきた。
杏奈は身を正すように、俺の懐から離れる。
あぁ。メロメロになった彼女を、
もう少し味わいたかったなぁ。
······いやいや、焦るな。
まだ、これから。始まったばかりだ。
あま〜いひとときを過ごすのは。ぐふ。
ぐふふふ。
「どうした朔耶?顔が、だらしないぞ?」
いかん。煩悩が隠せていない。
「すみません······あの、
これから、俺たちは······」
「我が兎万糖グループが誇るホテル、
“ナイト・オブ・ルビー”へ送り届けよう。
一流シェフが手掛ける食事は勿論、
スイートルームで、二人だけの時間を
心ゆくまで過ごすがいい。」
なっ······
“ナイト・オブ・ルビー”だと?!
学生の俺でも聞いたことがあるくらい、
かなり有名な最高級ホテルだぞ?!
しかも、スイートルームって······




