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黒いスーツ姿の乾さんと、
黒いドレスを身に纏う、会長。
アンバランスといえばそれまでだが、
この二人が並ぶと、最強に思える。
颯爽と歩いていく後ろ姿を、黙って
杏奈と二人で見送った。
そうだ。一応、杏奈に伝えておこう。
「······俺も先に、墓参りしたよ。」
「ねぇ。命日って、何で分かったの?
それに、ここの場所も。」
まずは、そこから話さないとな。
「杏奈の住むアパートに行って、
ドアノブに手を掛けたら······残像というか、
お前の姿が現れて。それに付いていったら、
ここに辿り着いたんだ。」
「えっ······どういうこと?」
「俺の、新たな力というか。
よく分からないけど、そういうこと。
フローラルマ····花屋のおばあさんとこに
寄っただろ?俺もそこに入って。
花束買って、話を聞いた。」
 




