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「······乾さんに知らせる。あいつの処理は、
会長に任せるんだ。」
「······短剣で、自分の血を浴びせようと
思ってたの。」
「危険すぎる。お前の血が、効かなかったら
どうするつもりだったんだ?」
ゾッとする。想像しただけで、冷える。
「自分の血を、吸わせるつもりだった。」
「それも、効かなかったら?」
「······」
「共倒れなんて、させないからな。」
「······うぅっ······」
誕生日でお前を失うなんて、考えたくない。
「ここは、苦しいだろうけど······
喧嘩別れしたって事で、一旦俺は
ここから離れる。
俺が誰なのか、あいつはまだ知らない。」
敢えて、“付き合ってます”とだけしか
言わなかった。
その方が、いいと思ったからだ。
判断は、正しかった。




