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10-13


だよな。

ここには、誰にも知らせずに訪れた。


「······信じたくなかったのかも。

 あの人が、両親を殺したんだって。」



考えたら、恐ろしい。

平気で杏奈を欺き、

平気な顔でここに居座り、

平気で杏奈を慰めたフリをしている。


一体、何がしたいのか。



「ホントに優しくて、とても良い人なの。

 パパママとも、仲良しだった。

 なのにっ······」


一番杏奈が、怖い思いをしている。


「パパは手足を折られてた。無力化して、

 恐怖を与えながら殺した証拠。

 ママは、全身の血を吸われてた。

 痛みはなかったかもしれないけど、

 きっと、赤い目でっ、服従させられてっ、

 いたぶられてっ······!」


俺は、彼女を強く抱き締める。


「俺に、ぶつけろ。お前の怒りと

 憎いと思う気持ち、俺が受け止めるから。」


「悔しいよっ、朔耶っ······!」



しがみつく両腕は、全力だ。


やっと、お前の本音が分かった。

そして、やろうとしてることも。


お前は、本当に。すごいよ。



 



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