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降り立った駅は、街並みよりも
木々の緑の方が多い気がする。
こんな自然溢れる所に、墓があるのかな。
近くに、小さな花屋があった。
そこへ残像の杏奈は、入っていく。
そうだ。俺も、供花で買おう。
ほぼ、両親の墓参りで間違いないだろう。
小さい花束しか、買えないけど。
残像の杏奈が買い終わる前に、買わないと。
見失ってしまうかもしれない。
「いらっしゃいませぇ。」
すんげぇ小さいおばぁちゃんが出てきた。
「あの、小さいやつでいいんで、
花束を作ってください。墓前用で。」
「おやまぁ。制服の坊や。
杏奈ちゃんの知り合いかい?」
「えっ?」
杏奈の名前を、知ってる。
「今日は、神父さまと、その奥さまの
命日だからねぇ。」
ナイス、マダム。
確実な情報、ゲットできた。
 




