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顔を俯かせている杏奈の隣に、俺は座る。
「・・・・・・いいか。よく聞けよ。」
鼓動が煩い。
トラウマってやつは、立派な足枷になっている。
それを、ぶち壊せるのか。
「・・・・・・何?」
普段の俺とは違う雰囲気を、
杏奈は察しているようだった。
真面目な顔を向けている。
「・・・・・・
俺は、普通の人間じゃない。」
「・・・・・・?」
「俺は、吸血鬼なんだ。」
「・・・・・・」
笑い飛ばされるだろうと思った。
信じてもらえないと、分かっていた。
だが、自分の事を
本当に好きになってくれた人には、正直に
話しておきたかった。
離れられても。




