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その稼いだ金で、
ちょっとしたジュエリーを買った。
良いやつって、バカ高いんだな。
金額見て、引いた。勿論そんなの買える程の
金はない。ホントに、ちょっとしたやつ。
こんな買い物は初めてで、かなり緊張したが
何というか、テンションが上がる。
喜ぶかな。杏奈。喜んでくれるといいな。
そう考えると、ドキドキする。
俺は、浮かれていた。
杏奈の誕生日が来るまで、
彼女が喜ぶ姿を想像するばかりで。
そして迎えた、その日。
杏奈は、学校に来なかった。
その時点で、正気に戻った。
なぜ、彼女は姿を見せないのか。
考えても、何も思い当たらない。
しかし。
彼女が家を出ていった理由が、
そこにあるとしたら。
俺の直感は、きっと当たっている。




