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俺は、そっと杏奈を包み込む。
「······晩メシ、食っていけよ。」
「······うん······」
「······家まで、送るから。」
「ふふっ······ありがと。」
放したくない。このまま、ずっと。
「······朔耶。血を吸ってないでしょ?
いいよ。」
「······」
正直、今吸っちまったら······
抑えきれない自信がある。
「今日は、やめとく。
明日から、よろしく。」
「えっ?どうして?」
「······どうしても。」
せっかく仲良しになったのに。
避けられるのは、もう嫌だ。
······だけど。
「ホントにいいの······?」
「そのかわり」
キスは、許してほしい。
 




