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はい。それはもう、心得ました。
でも······でも······
「彼女から話す時を待つのが一番だが、
時機を見誤ると、
取り返しがつかない事態になる
可能性がある。いざという時は、
すぐに動けるよう心掛けておきなさい。」
親父も、何かを感じ取っている。
そうなんだ。ただ事じゃない気がして。
「······うん。」
「その時は、黙って寄り添うんだ。朔耶。
彼女を、受け止めなさい。」
説得力ハンパねぇ。
マスター。ありがとう。
少しだけ、落ち着くことが出来た。
でもすぐに、割り切れるものじゃない。
この家に彼女いる日常が、もう
俺の生活の一部になりかけていた。
その空気が、なくなるというのは。
息が苦しくなるのと、同じ事だ。




