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「······」
杏奈は、じっと見つめてくる。
琥珀色の瞳。
めっちゃキレーなんだよなぁ。
そっと、彼女の頭に手を置いてみる。
すると、小さくだけど
瞳が揺れた気がした。
逃げずに、真っ直ぐ俺に
目を向けている。
これは。ナデナデして、いいってことかな。
一回、撫で下ろしてみる。
すると、杏奈は俺に抱きついてきた。
は、はわわわ。ヤバい、顔がニヤけそう。
「······朔耶······」
呟き程度の音量だけど、身体に響く。
「ぎゅっとして······」
そのお願いを、断る理由なんて、ない。
細くて柔らかい彼女の身体を、俺は
包み込むように抱き締めた。
 




